Crytek Engine Business ManagerのHarald Seeley氏 G★2007では,B2B(業者向け)でのみブースを出していたCrytek。同社のB2Bブースでは,デモ機の前にたくさんの椅子を用意して,CryENGINE 2.0のレベルエディタと思われるツールを動かす様子を見せていた。マウス操作で,グラフィックスツールのように簡単に地形が作れるというもので,同種のゲームエンジンではお馴染みのものだが,Crysisレベルの画伽韦猡韦辚ⅴ毳骏ぅ啶司幖丹欷皮い毪韦希沥绀盲趣筏恳娢铮à撙猡危─扦ⅳ搿4魏M獍妗窩rysis」は無事発売され,「」完全日本語版も発売まで1週間(11月29日発売)となった。
G★会場では,非常に短時間ながらCrytek Engine Business ManagerのHarald Seeley氏に話を聞く機会があったので,韓国および日本での展開を中心に紹介してみたい。
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本日はお忙しいところありがとうございます。さっそくですが,CryENGINE 2.0の韓国での評判をお聞きしたいのですが,いかがですか?
Harald Seeley氏(以下,Seeley氏):
いろいろなところに興味を持ってもらっています。すでに韓国では,いろいろな種類のゲームがCryENGINE 2.0で開発されていますよ。
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どんなジャンルのゲームで使われていますか?
Seeley氏:
具体的なタイトルは申し上げられませんが,MMOゲーム一般ですね。MMORPGに限らず,さまざまな種類のMMOゲームで使われています。
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MMOゲームということですが,CryENGINE自体は,サーバー側のエンジンを持っているのでしょうか?
Seeley氏:
いえ,CryENGINEはクライアント部分の機能だけです。韓国のゲームメーカーは,すでに自分達のサーバープログラムを持っていますから,サーバー側はそれを使って,クライアントでCryENGINE 2.0を使っていくようです。彼らのサーバーにCryENGINE 2.0を使えば,よりグラフィックに優れ,エキサイティングなゲームができます。それでCryENGINEを選んでいるようですね。
CryENGINE 2.0採用が発表された「Blue Mars」 :
なるほど。よく分かりました。公開できない情報が多いとは思いますが,現在CryENGINEを使うことを公開できるタイトルとしてはなにがありますか? 「」と「」(の次期バージョン)が採用すると聞いてはいるのですが,それ以外に公表できるタイトルがあったら教えてください。
Seeley氏:
「Blue Mars」と「Entoropia」は,両者ともCryENGINE 2.0を採用する作品ですね。韓国では,WebzenとReloaded Studios,またWeMadeではCryENGINE 1.0のほうを使ってゲームを制作してますが,タイトルまでは分かりません。NCsoftもCryENGINE 1.0でゲームを制作していますね。
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NCsoftのタイトルは(会場で展示されている)「」ですね。
Seeley氏:
そうです。
ちなみに,Webzenで作られている新作とは,韓国では「リネージュの父」として知られるJake Song氏ののことのようだ。もう1社のReloaded StudiosはWebzenからスピンアウトした新しい会社のようで,アクションストラテジーMMORPGを,CryENGINE 2.0を使って開発すると発表している。詳細は不明だが,を見る限りSFモノのようである。
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現在,御社がデモを行っているのは,CryENGINE 2.0ですが,オンラインゲームでは,もしかしてCryEGINE 1.0のほうが需要があるのではないでしょうか?
これは「クライシス」の設定画面。ちなみに,このマシンではすべて「高」が設定されているが,動かしているのはドスパラからお借りしている,GeForce 8800 GTXがSLI構成になった最強PC。最高(Very High)設定って…… Seeley氏:
よい賳枻扦工汀¥蓼海珻ryENGINEにはいくつかのセッティングが選択可能です。Lowスペックセッティング,Middleスペックセッティング,Highスペックセッティング,Very Highスペックセッティングとなっており,Lowスペックセッティングでは,3年前のゲームPCで快適に動くものになっています,cabal rmt。
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具体的なGPUでいうとどのあたりですか?
Seeley氏:
GeForce 6800です。
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それは,Shader Model 3.0を前提としているということでしょうか?
Seeley氏:
いえ,Shader Model 2.0で大丈夫です。あくまでも性能上の問題です。それがLowスペックの条件です。Middleスペックでは2年前のPCを想定しています。Highスペックは最新のPCです(編注:Very Highスペックは,1年後のPCのためのもの)。
さらに,こういった3Dゲームの開発には,平均して5年ほどかかることを念頭に置いてください。これに対して,グラフィックスカードの進歩は著しく速く,Highスペックの条件を満たすグラフィックスカードはだいたい6万円で売られていました,それと同等のスペックのものが現在は3万円,1年後には1万円台で買えるようになります。CryENGINE 2.0では,GeForce 6800以上のGPUを対象としていますが,DarkBlood RMT,これは2世代前のGPUに過ぎません。現在開発されているゲームが完成する頃には,非常にありふれたスペックとなっているでしょう。
ただ,多くの人は,必要もなしにPCを新しく買い換えたりはしないものです。最近は,新しいPCを買っても,そのPCが必要になるようなゲームはありませんでした。Crysisのデモが発表されて,あと1週間で発売されますが,ハードウェアメーカーからは,このところ新PCの売り上げが伸びているという嬉しい知らせを聞いていますよ。これからクリスマスにかけて,PCをアップグレードしようという人が増えてくるようです。
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なるほど,ゲームができる頃には,問題はなくなっているはずだということですか。確かに,Crysisが発売されて,それが動くPCが行き渡れば,CryENGINE 2.0のゲームが問題なく動くのも当たり前ですね。ちなみに,Crytek自身では,Crysisに続くゲームを開発しているのでしょうか?
Seeley氏:
Crytekは,世界中で3か国にゲームスタジオを三つ抱えており,CryENGINE 2.0を使ったゲームがそれぞれで進行中です。
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3タイトルが開発中ということですか?
Seeley氏:
それぞれのスタジオで,最低1タイトルというところです。それぞれのタイトルについてのお話はまだできませんが。
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3タイトル以上ということですね。では,これらのゲームスタジオで作成しているというゲームが出てくるのも,だいたい5年後なのですか?
Seeley氏:
いえ,いくつかはすでに長い時間をかけて開発中ですので,そんなにはかかりませんよ。
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安心しました。次に,日本での展開についてもお聞きしたいのですが,こちらはいかがですか?
Seeley氏:
いくつかの企業は興味を持ってくれていまして,ライセンスの話を進めています。ただ,どこがという話はまだできません。
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分かりました。ちなみに,CryENGINE 2.0はコンシューマゲーム機に対応しているのでしょうか?
Seeley氏:
CrysisはWindows専用ですが,CryENGINE 2.0はWindows用と各コンシューマゲーム機用になっています。日本のメーカーがコンシューマゲーム機でCryENGINE 2.0を使うことには,かなりメリットがあると思いますよ。
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それはかなり楽しみですね。本日はありがとうございました。
Crysisに触れたことがある人なら,あれがMMOスケールで展開されるゲームというのには期待をせずにはいられないだろう。すでに複数のプロジェクトが進行中というのは嬉しい情報であった。
ただ,インタビュー中で「5年」と見積もられたゲームの開発期間が,韓国や中国ではまったく違ったりするので注意は必要かもしれない。これらの地域では,ゲームとしてもっとも大規模と思われるMMORPGでさえ,開発期間が長いものでも「自前でエンジンから開発して5年」という感じだ。通常,長くて3年,モノによっては2年程度で1作品が作られているのではないかと思われる。一部の例外を除き,開発期間は非常に短い。
「」が2004年発売で,CryENGINE 1.0を使った「Aion」が来年のリリースとしてみると4年間だが,Aionは本来昨年出ているべきだったゲームで,ゲームエンジンとは関係ない部分で開発が遅れていただけなので,ほぼ3年であのレベルの作品のリリースが可能ということになる。
CryENGINE 2.0が想定しているのは,GeForce 6800クラスの性能である。確かに,GeForce 6800といえば,2世代前のアーキテクチャではあるものの,一般的なPCユーザーの環境と比べるとまだハイエンド側で通用しそうなGPUである。日本の市場動向から見ると,単体パッケージゲームならともかく,オンラインゲーム市場では厳しいところかもしれない。
CryENGINE 2.0で要求されるGPUスペックを,現在発売されているGPUと比較してみよう。GeForce 8000系列で見ると,GeForce 8600 GTならまったく問題ないが,GeForce 8500 GTではGeForce 6800 GTに劣るという感じである。来年のローエンドGPUならおそらく問題ないのであろう。
このように,ハイエンドGPUの性能が,数年でローエンドGPUまで降りてくるというのは説得力があり,疑う余地のないところなのだが,日本では新製品のPCでさえ,そもそもGPUを搭載していないものが多いというのが問題になる。GPUを搭載しているかどうかでは,大きな違いがある。ゲーム用として販売されているPCならまったく問題ないのだが,それ以外のPCではやはり厳しいところであろう。初代GeForceが発売されて,すでに8年経ったが,2Dゲームの需要は依然として高く,多くのPCで採用されているチップセット内蔵3Dコアについては,3Dゲームにはちょっとつらいというのが日本の状況だ。
早ければ,2年以内にもCryENGINE 2.0を使ったオンラインゲームが登場してくるだろう。その時期の平均的なPCが,CryENGINE 2.0を楽々動かせるほどのスペックになっているかは,ちょっと心配なところである。
さて,短時間のインタビュー後,我々とは入れ違いでSeeley氏にアポイントを入れていたのが,日本のゲーマーにはお馴染みの某社の人だったのにちょっと驚いた。思わず「開発もやるんですか?」と聞いてみたくなったのだが,詳細は不明である。もしかしたら,そのうちなんらかのサプライズ発表があるのかもしれない。
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